フォトフェイシャル(IPL)はニキビ跡に何回で効果が出る?【論文をもとに医師が解説】

フォトフェイシャル(IPL)は、シミやくすみだけでなく、ニキビ跡(赤み・色素沈着)にも有効とされています。
実際、複数の臨床研究で「IPLはニキビ跡の赤みや色ムラを改善する」というデータが報告されています。
この記事では、学術論文の根拠をもとに
・どのタイプのニキビ跡に効くのか
・何回で効果が出るのか
・効きにくいニキビ跡のタイプ
を医師の視点でわかりやすく解説します。
1. 論文からわかる「IPLが効くニキビ跡の種類」
ニキビ跡には大きく3種類あります。
論文データでは、赤み(炎症後紅斑)・色素沈着に強い根拠が確認されており、凹み(クレーター)には根拠が弱いとされています。
| ニキビ跡の種類 | IPLの効果 | 根拠 |
|---|---|---|
| 赤み(炎症後紅斑・PIE) | ◎ 効果的 | 81.7%で赤みの改善(Retrospective Study, 2022) |
| 茶色い色素沈着(PIH) | ◯ 改善あり | 4回施術で明らかな色素改善(同研究) |
| 凹み(クレーター) | △ 効果は限定的 | フラクショナル等が第一選択(Review, 2023) |
特に赤み(炎症後紅斑)に対するIPLの有効性は大きく、赤みが強く残るタイプのニキビ跡に最も適した治療と言えます。
2. フォトフェイシャルは何回で効果が出る?【論文ベース】
複数の研究で、2〜4週間間隔で複数回照射することで効果が高まると報告されています。
| 回数 | 改善の目安 | 根拠 |
|---|---|---|
| 1回 | 赤み・色ムラが軽く改善 | IPLは初回から色素反応が出る(JCAD, 2019) |
| 3回 | 赤みが明確に減少、色素沈着の改善が安定 | 3〜4回で有意な改善(Chinese PAE Study, 2022) |
| 5回 | 肌の均一感・透明感UP、跡が気になりにくい | 蓄積型で効果増強(複数研究の総括) |
最も多い実感ラインは「3〜5回」で、 特に赤みのニキビ跡は3回目あたりから大きく変化が出る傾向があります。
3. IPLがニキビ跡に効く“メカニズム”【根拠あり】
① 赤みの原因である「毛細血管の拡張」に反応
炎症後紅斑(赤み)は、ニキビ炎症後に毛細血管が拡張した状態です。
IPLは血管系の波長に反応し、拡張血管を収縮させることが報告されています。
※根拠:Narrow-Spectrum IPL のPAE改善研究(PAE Study, 2022)
② メラニンに反応して色素沈着を薄くする
茶色い跡(PIH)は、メラニンが皮膚に残っている状態。 IPLはメラニンに吸収されやすく、繰り返すことで沈着を薄くします。
③ コラーゲン生成の刺激
軽度の浅い凹凸であれば、IPLの熱刺激により肌の均一感が向上するケースがあります。
4. フォトフェイシャルが「向いている」ニキビ跡
- 炎症後の赤み(最も効果が高い)
- 茶色の色素沈着(PIH)
- 軽いざらつきや肌の色ムラ
5. フォトフェイシャルが「効きにくい」ニキビ跡(論文ベース)
- 凹み(クレーター型)→ マイクロニードリング・フラクショナルなど他治療が第一選択
- ローリング型・アイスピック型の深い瘢痕
- 活動性ニキビが多い状態
最新の総説(2023)では、クレーター改善にはIPLは補助治療という位置付け。 ただし赤み・色素沈着を先に改善→総合的に肌が綺麗に見えるというメリットは確かにあります。
6. 施術ペース(根拠に基づく)
2〜4週間に1回 × 3〜5回が推奨されています。
Narrow-spectrum IPL のPAE研究では「1か月ごと × 4回」で有意差が出たと報告。 赤みが強い人は「3週間間隔×3回」でも効果的。
7. まとめ:論文の根拠から見てもIPLは“赤み・色素沈着のニキビ跡”に効果的
- 赤み(PIE)に対する改善根拠:◎(複数研究で81%改善)
- 茶色い跡(PIH):◯(繰り返し照射で改善)
- 凹み(クレーター)は△ → 他施術併用が必要
- 回数は3〜5回で効果が安定
- 2〜4週間間隔で継続すると改善が最大化
ニキビ跡は「種類」によって治療が異なります。 自分の跡がどのタイプかによって治療の成功率が大きく変わるため、まずは医師による肌診断が重要です。
【参考にした主要文献】
- Intense Pulsed Light Therapy Improves Acne-Induced Post-inflammatory Erythema and Hyperpigmentation: A Retrospective Study in Chinese Patients, 2022.
- Narrow-Spectrum IPL in Post-Acne Erythema: Prospective Study, 2022.
- Effective Intense Pulsed Light Protocol in Acne Vulgaris, JCAD 2019.
- Frontiers in Medicine 2023: Acne Scar Management Review.
